日本の食文化その1
1.日本の食事:「ハレ」と「ケ」
ハレ・・特別な行事の食事のこと(五節句・行事食・長寿の祝いなど)
ケ・・・日常の食事のこと
2.五節句とその料理
伝統的に季節の変わり目となる日を「節句」と呼び、料理を作って祝うというものです。
節句に食べる料理を節供(せちく、せく)といいます。
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節句,月日,別名,料理
人日(じんじつ),1月7日,七草の節句,七草粥
上巳(じょうし),3月3日,桃の節句,ちらし寿司、蛤の吸い物、白酒、桜餅
端午(たんご),5月5日,菖蒲・あやめの節句,かしわ飯、ちまき
七夕(たなばた),7月7日,七夕,そうめん
重陽(ちょうよう),9月9日,菊の節句,菊のお浸し、菊酒
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日本の食文化その2
~みそ汁~
受け継がれる知恵と生命のスープ
中国の史書「後漢書倭伝」に倭国(古代日本)の紹介部分で“冬夏生菜茹”の言葉が登場します。「菜」は野菜、「茹」はゆでる、煮る、食うの意味があり「菜茹」は野菜の煮込みスープとみられ、冬も夏も食べているというのです。古代日本人の「多くは寿であり、百余歳になる者がはなはだ多し」とあり「菜茹」のある食生活と関係あるといわれてます。
時代とともに呼び名も「菜茹」→「汁」→「羹」→「熱汁」→「集汁」となりました。
江戸時代初期に出た『料理物語』(1643)の中には「あつめ汁(集汁)」があり、その作り方は「中味噌にだしを加え、またすましにもする。大根、ごぼう、芋、豆腐、竹の子など、そこへ干しアワビやつみれなど入れてもよい」とあります。
江戸時代になって味噌作りが盛んとなり、みそ汁が全国に普及し、飯のそば(右側)につけるものとして「おつけ」、丁寧語でいうと「おみおつけ」。また「あつめ汁(集汁)」といわれるように具材も椀にも盛り上がる程多かったようです。
~実の三種は身の薬~
「実の三種類以上入ったみそ汁は食べる薬」という無病息災の知恵のことわざと伝えられています。日本人の長寿と健康を支えてきたみそ汁は歴史の中で育てられ、伝えられてきた知恵のスープ、生命のスープです。
旬の食材を取りいれたみそ汁、皆さんの朝の食卓にも汁物として「おつけ(・・・)」くださいね。
担当:百武管理栄養士