クマさんの、麻疹・風疹混合ワクチンの話 | ならざき小児科 福岡市東区の小児科。病児保育も併設。

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クマさんの、麻疹・風疹混合ワクチンの話

 もうすっかり春。桜も咲き始め、入学式を前にはりきっているたくさんのこどもたちのせいか、空気にさえ何だかワクワクさせるような気配を感じてしまいます。

 この春小学校に入学するこどもたちは、ちゃんと麻疹・風疹混合ワクチン(以下MRワクチン)の第2期接種を済ませたことと思います。中間報告では福岡県は全国最低の接種率だったけど、駆け込み接種で少しは挽回したのかな?ちょっと心配。今度年長組になるこどもたちは、先輩たちのまねはせず、早めにやっておこうね。

 今年から5年間、中学1年生と高校3年生に相当する年齢のこどもたちにMRワクチンの公費接種(それぞれ第3期、第4期と呼ぶそうです)が行われることになりました。世界に冠たる予防接種行政のおかげで、日本の感染症対策は先進国の中では最低。麻疹輸出国日本はいつも外国から批判の的です。国がやっと重い腰を上げて、MRワクチンの2回接種を始めたのが2年前。今年小学校2年生になる学年以下のこどもたちは公費で2回接種を受けることになったわけです。今度は、5年かけて、今年小学校3年生になる学年から高校3年生になる学年までのこどもたちの免疫を高めようという作戦です。

 もちろん1歩前進ではありますが、5年たたなければこの作戦は完了しないので、その間この年齢層の中でも流行がまだ少しは起こるでしょう。また、今年高校を卒業した学年よりも上の年齢層に対する公費接種は予定されていませんので、今後も成人の麻疹は発生が続くでしょう。風疹抗体価が低い妊婦さんが増加しているということもあり、今後は成人でのMRワクチン接種が問題になってくると思われます。

 麻疹はとっても怖い病気です。合併症の頻度も程度も高く、感染力が強力です。先進国ではほぼ撲滅されたこの病気ですが、この日本ではまだ多数発生しているのです。亡くなっているこどももいます。福岡県の発生動向調査でも毎週10〜20人以上の発生が見られています。当院でも昨年は7人の麻疹患者を診ました。身近なところで発生している怖い感染症ですが、予防接種をすれば98%以上はかからずに済むのです。2回接種すればより確実な免疫が獲得できます。

 国はやっと麻疹撲滅に本腰を入れ始めたのですが、第2期のMRワクチン接種率を見る限り、保護者の間にこのワクチンの必要性に関する理解が広がっているようには決して思えません。概して、この国は感染症の予防に対して官も民も積極的ではありません。先進国とは雲泥の差です。うちの診療所に来る韓国、台湾、パラグアイのこどもさんの母子手帳を見ても、麻疹・風疹・ムンプス混合ワクチン、Hib(インフルエンザ菌b型)ワクチン、肺炎球菌ワクチンを済ませています。日本がこのような後進国に甘んじているのは、国が一番悪いが、マスコミ、小児科医、それに保護者にも責任があると思います。僕は、この話をお母さんや実習に来た医学生たちに毎回毎回しています。耳がタコになってしまったお母さん、ごめんなさい。

 僕には国を動かすことはできませんが、お母さんたちの考え方を変えることはできると信じたい。せっかく国が2回目の接種機会をやっと用意したのに、その権利を放棄してしまうなんて、どうかやめてください。こどもたちのために、進んでワクチンを受けさせてください。お願いします。

(2008年3月31日)

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