クマさんの、新型インフルエンザの教訓 | ならざき小児科 福岡市東区の小児科。病児保育も併設。

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クマさんの、新型インフルエンザの教訓

 とうとう新型インフルエンザが出現しましたね。日本の政府もマスコミも大騒ぎでしたが、新型インフルエンザは弱毒性の豚型H1N1インフルエンザでした。予想されていた強毒性の鶏型H5N1インフルエンザではなかったため、人的被害が少なくて良かったですね。しかし、この豚型も秋以後の第2波の流行時には毒性が増しているかもしれないし、鶏型だって着々とヒトへの感染能力を身につけている最中であることには何ら変わりはありません。したがって、この次のアウトブレイク(流行)が今回のように軽くすむという保証はまったくありません。

 さて今回は、今度の新型インフルエンザから学んだことをまとめてみましょう。まず第1番目は、やっぱり感染症との戦いに終りはないということ。新型インフルエンザの登場は時間の問題だと、専門家の間ではだいぶ前から言われていました。人類の病気の歴史から見ればきわめて当たり前の現象なのです。ヒトがワクチンや薬を開発しても、病原体は進化して生き残ろうとする。タミフル・リレンザもワクチンも効果は一時的と思われ、新しい薬やワクチンを開発してもインフルエンザ・ウィルスも負けずに変異するので、イタチごっこで終りがない。新型インフルエンザの出現は、これからもずっとくり返されるでしょう。

 2番目はワクチンです。今回出現した新型インフルエンザ・ウィルスはすでに分離されていますが、これを用いて早急にワクチンを作り流行の第2波に備える必要があります。実際にその作業はすでに始まっていると思われますが、従来のインフルエンザだってもちろん流行しますので、新型、季節性の両方のインフルエンザ・ワクチンを製造しなければなりません。ワクチンを作るためには鶏の有精卵が必要ですから、生産量を一気に倍増するのは困難でしょう。実はいつも十分量のワクチンを製造できる態勢を維持しておくことは、新型インフルエンザの流行に対する重要な防衛戦略なのです。そのためには、多くの国民が毎年ワクチンを接種することによって、ワクチン製造ラインという社会的インフラの維持を図らなければなりません。

 3番目は感染防止対策です。手洗いやうがいの励行、マスク着用、人ごみに行かない、集会をしない。こういう注意が、テレビや新聞で何度もくり返し報道されていました。もちろん大切なことなのですが、考えても見てください。これらは新型インフルエンザが出現したからやるべきことなのでしょうか?毎年冬に、インフルエンザの流行に備えて言われてきたことばっかりです。何も目新しいことではありません。また感染症にかかっている時には感染を拡大しないために登校しない。感染症が多い時には、狭いスペースに人がたくさん集まるような行事をしない。これもきわめて当たり前の話です。でも、感染症にかからない、蔓延させないために有効な手段はこういう方法しかありません。新型インフルエンザの流行が終息しても、手洗い、うがい、エチケットとしてのマスク着用は続けましょう。感染力の強い病気にかかった場合は、医師の指示に従ってちゃんと学校は休ませてください。報道キャンペーンで多くの人たちが感染症防止の方法を真剣に学んだことは、今回の騒動で得られた大きな収穫かもしれません。

 日本では皆勤賞狙いのこどもや保護者が新型インフルエンザ流行を拡大させてしまう可能性が、他の国にはないリスク要因になるかもね、なんて要らぬ心配もしてしまったクマさんでした。
(2009年5月31日)

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