ワクチンに関する規則や実施方法はずっと同じというわけではありません。むしろ、時代とともに変わっていく部分の方が多いかもしれません。
たとえば、昨年から学校でのツベルクリン反応とBCG接種が廃止されました。これで、学校でのワクチン接種はすべて行われないことになりました。来年度からは乳児健診でのツベルクリン反応も廃止され、直接BCGが接種されることになります。
また、昨年の予防接種ガイドラインの改訂で、感染症にかかった際に次の予防接種までにあけるべき期間の見直しもされました。はしか(麻しん)の治癒後4週間程度は変わりませんが、風しん、水ぼうそう(水痘)、おたふくかぜ等は治癒後2週間から4週間程度になり(以前は1ヶ月)、突発性発疹、手足口病、伝染性紅斑等のウイルス性疾患は治癒後1週間から2週間程度になりました(以前は2週間以上)。
熱性けいれんも、以前なら最終けいれんから1年以上あかなければワクチン接種ができなかったのですが、今では2~3ヶ月もあけばできるようになっています。
ここで強調しておきたいのは、このようなルールは絶対的なものではなく、こどもさんにとってワクチン接種をした方が明らかに健康上のメリットが大きい場合、保護者の同意と主治医の判断があれば、ルール通りでなくとも接種できることです。
最後に、近い将来変更されるのは、1)麻しんワクチンが2回接種になること、2)現在は2回飲んでいるポリオの生ワクチンが不活化ワクチンになり、3種混合ワクチンのように4回注射するようになることです。麻しんワクチンが2回接種になるのは、1回接種では麻しんにかからないで済む免疫状態を生涯にわたって維持するのが難しい状況になりつつあるのが理由です。世界的にみれば、麻疹が撲滅されつつあるアメリカなど多くの国では麻疹ワクチンはすでに2回接種が標準となっています。ポリオが不活化ワクチンになるのは、生ワクチンでは稀にワクチン・ウィルスが突然変異で毒性をとりもどし接種を受けた人やその周囲の人にポリオと同じような病気(ワクチン関連麻痺)が発生してしまうことがあるからです。欧米諸国ではほとんどが不活化ワクチンを使用しています。
このように、感染症の流行状況やワクチンの開発・改良状況に合わせて、今後もルールは変更し続けられるでしょう。こういう情報はすべて新聞などで報道されています。お子さんのためだけではなく、お父さん、お母さんご自身のためにも、感染症やワクチン事情にもっと関心をもって欲しいと思います。
(2004年10月1日)