福岡市東区和白 医療法人育慈会 ならざき小児科

子育てのための医療

クマさんの、ワクチン・ギャップの話

 日本は世界に冠たる経済大国で、とても豊かな国ですが、発展途上国にも負けている分野があります。それも、国民の命や健康に直結する分野です。何だと思いますか?それは予防接種です。

 昨年12月にやっとヒブワクチンが導入されましたが、まだ任意接種です。世界でも最も導入が遅いグループです。他の先進国では10年以上前から定期接種化されています。韓国・台湾では任意接種ですが、接種率はそれぞれ90%、70%です。B型肝炎ワクチンは、1992年WHO(世界保健機構)がすべての新生児に接種するよう勧告し、現在では大半の国で実施されています。WHOの予防接種戦略では2009年までに世界のすべての国で定期接種化するという目標を立てていますが、日本ではそのような話はまったく聞こえてきません。

 アメリカのこども達が定期接種で受けているのに、日本では受けられない(国に認可されていない)ワクチンとしては、肺炎球菌ワクチン、不活化ポリオワクチン(副作用の頻度が少ない注射ワクチン)、麻疹・おたふくかぜ・風疹混合ワクチン、ロタウィルスワクチンがあげられます。また定期接種化されていないために接種率が著しく低いワクチンとしては、B型肝炎ワクチン、ヒブワクチン、インフルエンザワクチン、水痘ワクチン、A型肝炎ワクチンがあります。

 このように日本の予防接種体制が世界標準から大きく遅れている現状は、ワクチン・ギャップと呼ばれていますが、どうしてこのようなギャップが生じたのでしょうか?

 最大の原因は国の予防接種行政です。国民の命や健康を守るための仕事が本分なのに、その視点が完全に欠落していると言わざるをえません。本来、ワクチンは感染症を予防するために非常に有効な手段で安全性も保証されているが、薬に副作用が起こることもあるように、極めて稀な確率で副反応が起こることは避けられません。そのため、万が一そのようなことが起こった時には、被害者を救済する制度がちゃんと用意されています。しかしながら厚労省は、極めて稀に起こるワクチン接種後の(ワクチンの副反応が否定できない)有害事象による裁判を数々経験したため、ワクチンに関する正しい知識を国民に普及させる道よりも、裁判を回避する道を選択しています。WHOから良いワクチンだと評価された従来の日本脳炎ワクチンを事実上中止してしまったことからも分かるように、訴訟リスクを軽減するために安全性の保証度をできるだけ高くしたいわけです。となると、新たなワクチンの導入は非常にハードルが高く、認可までの時間もかかることになります。

 しかし、このままでは日本は世界一のワクチン後進国になってしまいます。国は積極的に新しいワクチンを導入し、接種費用の公費負担も拡大すべきです。国民にはワクチン接種を勧める広報を徹底して、各種のワクチン接種率を向上させるべきです。それが、国民の命や健康を守ることになり、ひいては医療費抑制にもつながるのですから、一石二鳥のはずです。国民の命や健康を守るという自分たちの立ち位置を思い出して、ワクチン行政をしっかりやってほしいものです。

 クマさんは、ワクチン・ギャップが生じた原因はお母さん方や僕たち小児科医にもあると思っていますが、その辺は次回に書きます。

(2009年8月13日)

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