福岡市東区和白 医療法人育慈会 ならざき小児科

子育ておしゃべりコーナー

第22回:最近の虐待事件に思うこと

 悲しいことに、子どもの被虐待死の痛ましい報道を毎日のように目にします。虐待されている子どもは生後数ヶ月の乳児から年齢は様々。虐待している親の方は、必ずしも若年ばかりではなく分別あるはずの社会人のこともあるし、継父母のケースもあれば実父母のケースもあります。

 新聞報道の情報しかないので具体的な真相は分かりませんが、殺意を抱いているのはごくわずかで、ほとんどのケースは感情のコントロールが出来ずに暴力に走ってしまって、大けがさせたり死なせたりしてから事の重大さに気づくという顛末のようです。

 事件がおこるたびに、育児支援はどうなっているんだ、児童相談所はどうしていたんだ、というように責任問題の矛先があっちこっちに向けられます。最近、国は相談・支援体制の再構築のため法の改正に動いているようです。もちろん体制を整えるのは緊急を要する大切な対策ですが、虐待が起こった事後の相談支援よりもっと大切なのは虐待が起こらないようにする予防的な対策ではないかと思います。

 「親が感情のコントロールができない状況」を考えるとき、その人の育ちの過程にある社会環境までさかのぼって考えなければなりません。人は誰でも赤ちゃん時代があり、そこでは家庭という一番小さな社会の影響を大きく受けています。大きくなっていくと、地域や学校という社会環境の影響を受けます。現在こんなに虐待の心理が広まっているというのは、今私たちが生活している「社会」に問題があるのではないかと私なりに疑問を感じています。つまり、少子社会のつけが回ってきたのではないか、と思っています。

 かつて、兄弟が多かった時代には、上の子が下の子を世話するのは当たり前、地域にはガキ大将が取りしきる子どもの世界もありました。子どもたちは、あっちこっちの家になだれこんで、可愛がってもらったり叱ってもらったりという、こころの育ちの環境もありました。そういう環境の中で、自然に人づきあいという人間関係の学習ができていたのですが、少子社会ではそのような人間関係の学習機会に恵まれなくなっているのです。しかも、子どもが少ないので小さいときから何でも与えられるという受け身の経験しかなく、自分より小さい子や弱い立場の相手に何かをしてやる(世話をする=与える)といった主体的な経験もないので、いざ親になった場合に、相手(子ども)が自分の意のままにならないともうどうしたらいいか分からなくなり我慢ができずに暴力に走ってしまう、という状況なのではないでしょうか。

 予防対策として大切なことは、乳幼児期から家庭以外のところでいろんな人と触れ合う機会を多くもつ事ではないかと思っています。特に年齢層の違う子どもの集団や地域の大人とも触れあえる集団など、例えば最近よくある育児サークルや子育て支援サロン、あるいは地域の行事やお祭りなどに積極的に顔を出したりした方がいいように思います。

 「勉強がよくできる」と「人づきあいがうまくできる」とは全然違う能力ですが、人間社会でより良く生きるためにはまず人間関係がうまくできることの方がずっと大切だとは思いませんか?テレビ・ビデオ・コンピューターというバーチャル体験より、実体験の方がこころの育ちにはずっと重要です。特に自分より立場の弱い相手を世話するという関係は、「感情をコントロールする自律心」を育てるのにとても大切な経験ですので、小さいときから大いに機会を与えたいものです。

 一方、虐待している親の一部は、実は自分自身が子ども時代に虐待されていたと言う事実があります。これは良く知られている「世代間連鎖反応」であり、「自分が親から虐待されている」という体験が「自分が自分の子を虐待してもいい」という無意識の価値観を作らせてしまうらしいのです。これに気づいて自分が子どもを虐待するかもしれない、あるいは虐待しているかもしれないと、一人で苦しんでいる人もたくさんいます。大切なことは、自分がこの「連鎖」にあると気づくことです。一人で悩まないで相談して欲しいと思います。

 ならざき小児科はあなたのこころの支えになりたいし、必要があればネットワークしている専門の先生にも紹介しています。

(2004年3月4日)

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