第28回:新たな旅立ち | ならざき小児科 福岡市東区の小児科。病児保育も併設。

福岡市東区和白 医療法人育慈会 ならざき小児科

子育ておしゃべりコーナー

第28回:新たな旅立ち

 我が家の末っ子が中学校を卒業した3年前、私もPTA卒業だよという「寅さんのPTA履歴書」をこの欄に書いたのがつい先日のような気がしますが、瞬く間に時がたち、この春彼は晴れて大学生になります。この3年間、部活や体育祭に打ち込み学業が思わしくない時期も長かったので、母としてやはりハラハラドキドキ、忍耐と祈りの毎日でした。我慢しきれずに、時々「勉強もしてる?」とこそっと訊ねてみたりもしました。唯一の光は彼の規則正しい早寝早起きの習慣です。朝4時半に一人で起床し1日が始まる、というパターンが3年間続きました。学生時代遅刻の常習犯であったこの母にしてみれば、尊敬に値する存在で、当然惜しげもなく「あんたはえらい!」と誉めまくりました!

 自宅から通える大学なのに彼は一人暮らしを希望し、この家から巣立ちます。4人のこどもの27年間の子育ても、いよいよ本当に卒業です。そして私たち夫婦にとっては、再び2人だけの生活という新たな旅立ちでございます。

 先日ある講演会に行きました。Loving HUG(Hug は百薬の長)と言うテーマで基調講演をされた新生児医療がご専門の先生が、珍しくご自身の子育てについて語られました。すでに60歳代の先生ですので若い時分は家事育児を分担なさることは当然ありません、その上病院での仕事が忙しく3日に一度しか家に帰られない、家族はいつも「母子家庭」状態だったそうです。そういう状況の中でご夫婦で実践された子育て5原則というのは、1)乳児期にはしっかり抱く(ハグ Hug)こと、2)家でできる教育~あいさつ~だけはしっかり教え込む、3)家父長制を子どもに認識させる、4)役割を与える、5)夫婦円満が最大のしつけ。そして「妻がよくやってくれたことに感謝している」と言われ、最後に奥様と交わされた川柳を紹介されました。

先生:罪滅ぼし ひとよ一夜の 腕枕

奥様:何いうよ 禿がハグして はぐらかし

初老夫婦の本音がちらりと見えて、ほほえましく感じました(註:ハグ Hugとは抱きしめること、ちなみにこの先生は立派なピカピカ頭の持ち主です)。

 主人も若い時分は病院での泊まり込みが多く、似たような状況でしたので、このくだりを感慨深く拝聴しました。こどもが病気の時には度々近所の小児科のお世話になり、「お父さんが小児科でしょう」と先生に冷やかされたりしますと、ハァ母子家庭ですので・・・と私。主人は「男子厨房に入らず」の方ですので当然家事分担は望めません。おまけに、私におヒスレディなる称号まで授けてくれましたが、しかし、育児方針について話し合ったり節目節目で父親として子どもに伝えるメッセージを発信したりしたので、私にとっては一人で背負い込むだけではなかったので精神的には割と楽でした。

 もちろん夫婦の20数年間というものは世間並みに山あり谷あり、泣き笑いにあふれています。岐路にさらされることもありました。粗雑になっていた自分の心を見つめ直したり、互いの価値観を再認識したり、修復をしつつ夫婦の年輪を重ねてきました。新婚の形を灼熱の太陽とすれば、これからはすべてを包み込む深海でありたいと願っています。一つだけ未だに合意に至らなかったのは来世での役割です。私は夫婦の役割を交替してみたいのですが、主人は現世のまま「僕が夫で君が妻」と決め込んでいるのです。三途の川までいま暫くの余裕がありそうですので、次なる旅立ちの前にディベイトをくり返さなきゃ・・・

(2005年4月2日)

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