「疲れてもがんばれ!」こういうキャッチフレーズの商品を見かけました。なんと8~14歳向けのドリンク剤に書かれていた宣伝文句なのです!
こどもたちがこのドリンク剤を手にする状況を想像するだけで悲しくなります。疲労困憊しているこどもが自分で買って飲むのでしょうか?もっと頑張れと言って親が買い与えるのでしょうか?塾で居眠りするなと飲ませるのでしょうか?
寝る時間を惜しんで「がんばれ!」、会社の方針がおかしいのか、いいえ、「がんばれ!」が大好きな日本の社会全体がおかしいのではないでしょうか。
「疲れたら寝る」というのはとても大切なことです。眠りはただ疲れをとるための休養だけではありません。睡眠中に体は我々が生きていく上に欠くことのできないたくさんの大切な働きが行われています。体温、血圧、成長ホルモン、ステロイドホルモン、生体時計、メラトニンなどの生理的な活動が睡眠と深くかかわっているのです。当然知的活動や情緒面においても大いに影響があります。
年齢に応じて必要な睡眠時間というのがあります。個人差は確かにありますが、睡眠不足の翌日には体がだるく何もしたくないという経験はだれしも感じたことはあるのではないでしょうか?もう一つ大事なポイントは睡眠の質です。これは就寝時刻と関係があります。深夜0時前には寝付くようにした方がいいという専門家のアドバイスがあります。
睡眠時間を無理にけずることは人生の質を下げることだと私は思っています。睡眠時間が少なく就寝時刻が遅いほど学業成績が悪いという研究データーもあるのですよ。
世界中で睡眠時間がもっとも短いのは日本のこどもです。塾通いで遅く帰宅し、夜通し遊べるネットもあり、なかなか寝る暇がない環境にあります。寝ない子どもたちが問題なのか?それともこういう眠らせない環境を作り上げた大人が問題なのでしょうか?
疲れても頑張れって結構むごいと思いませんか?
疲れたらよく眠れ!と声を大きくして言いたい!
NCCぞうさん通信第55号(2011年6月)