世界幸福度指数8位(アジアでは1位)であるブータン王国の若い国王夫妻の新婚旅行先は日本でしたね。日本から見たら、ブータン王国の人々の生活や医療環境はかなりの貧しい状況ですが、国民の90%以上の人々が幸せを実感しているといいます。
幸福度の調査研究は世界的にいくつもあり、結果は必ずしも完全一致ではないが、共通した傾向としては、北欧やスイスなどヨーロッパの小国の国民の幸福度は高く、日本、韓国、中国といった国は、あまり幸福ではない中ほどのランクにあります。そして下位には旧ソ連圏の国がひしめいています。
それでは、幸福度を決める要素は何でしょうか?当然客観的には、所得、医療、教育、平均寿命、犯罪率、等などが考えられます。各種調査で1位を占めるデンマークの税金負担は収入の80%にも達しています。それでもデンマークの人々は幸福と感じるようです。上記の指標でいえば幸せであるはずの日本と韓国の人々はあまり幸福と感じていません。一方で、ラテンアメリカの国の人々が、指標から予想されるよりは相対的に幸福と感じているのは、なぜでしょうか。
日本政府が新たに幸福度を測れる指標(幸福度指数GNH)づくりを考えているようです。その基礎調査によって日本人が幸福と感じる上位要素は①健康②家計③家族であることがわかりました。私も同様に思っていました。しかし、ブータン王国のものとは全然違っていました。彼らが最も重要と思っているのが「人間関係、隣人関係、家族関係の平和と交流」だそうです。人を思いやり、信頼し合うことが根源のようです。
要するに幸福はお金や持ち物では測れない、幸福は人間関係の穏やかさ、心の豊かさからしか得られないということなのでしょうか。
自分自身に置き換えてみれば、今までの人生に失ったものがたくさんあります、連れ合いを失くし、健康を失くし、数えれば不幸だなと気持ちも沈んでしまいます。しかし、今の身の回りに目を向ければ、抗ガン剤はつらいけどまだ普通に生活ができている、社会人に成長してくれたこどもたちがいる、可愛い孫もいる、助けてくれるたくさんの仲間がいる、こんなに多くの愛に包まれて今を生きているのです、これを幸福と言わなければ何と言いましょう。
年頭にあたり、ブータン基準で皆様も幸福感につつまれて過ごしてほしいと願っております。どうか、お幸せに!(寅2013年元旦にて)
<蛇足>ブータン王国の人々の幸せを感じることのもう一つの根源は「足ることを知る」という精神があり、これを支えているのはチベット仏教の信仰心だそうです。今の日本では、お宮参り、七五三、初詣は神道、チャペルウエディング、クリスマスはキリスト教、お盆、お葬式は仏教のように、無頓着なのか、しなやかに混在を受け入れています。信仰というより商業ペースにファッション化されているようにも感じられます。よほど心を強くしなければとても「足ることを知る」の精神には辿りつけられないかもしれないね・・・・
NCCぞうさん通信第65号(2013年2月)