診察室で大きな声で泣き叫んで抵抗しているのに涙の出ていないこども、或いは静かに目にいっぱい涙を溜めてついにはぽろぽろっとなっているこども。診察を受ける様子が様々なら涙の様子も様々です。男だから泣くなというお母さん、一緒に泣きそうになるお母さん、これも様々です。私は5人兄弟の長女ですので、小さい時から「お姉ちゃんだから」と言われて育った、意地っ張りで可愛げのない性格、人前では涙を見せないたちでした。クマさんからはよく「鬼の目」と揶揄されました。クマさんは反対にすぐに涙ぽろぽろ、私はいつも「鬼のかく乱じゃ」と言ってタオルを渡してあげるのでした。
さあ、あなたはどのタイプですか?
涙は目を保護するための大事な役割を持つ体液です。玉ねぎを切るときに出る涙は刺激による反応性の涙。また喜怒哀楽に伴う感情の涙というのもあります。それぞれに味が違うらしい。神経が高ぶって怒りや悔しさに満ちた時の涙はナトリウムが多く塩からい、リラックスした時に出る涙は薄味で脂肪分も少なくカリウムを多く含んでいると文献に書かれています。しかし、どんな味かな?と冷静に味わう余裕がないのが喜怒哀楽ですよね。
また、涙は感情的な興奮によって体の中で産生されたストレス物質を体の外に連れ出してくれるらしく、したがって涙を流した後に気持ちが落ち着くのだそうですよ。泣きたいときに涙をこらえているより、ワッと泣いてしまった方がいい。そうすると、私はとても損な性格かな?今まで涙を見せないのはストレスに強いと思っていたが実は知らずにストレスを貯めこんでいたのだ。検査しても異常なしと言われた不整脈はストレスだったのか!しかし最近は確かに若い時に比べて涙腺がゆるくなっています、これは歳のせいでしょうね。
自分の経験を踏まえて、こども達には「男だから・・・」、「お兄ちゃんだから・・・」、「お姉ちゃんだから・・・」という言葉を言わないように気を付けています。予防接種の時には「いやなら泣いていいよ、痛かったら大きな声で泣いていいよ、お約束は一つだけ、動かないでね!」と声をかけるようにしています。上手にストレスを発散してほしいから。
まぁ、何と言っても塩からい涙でない人生の方が一番です。すべてのこども達に幸多かれと祈るばぁばが一人ここにいるのです!
NCCぞうさん通信第50号(2010年8月)