福岡市東区和白 医療法人育慈会 ならざき小児科

子育ておしゃべりコーナー

第15回:「アドボガシーNOW!」

 先日名古屋市で行われた第12回日本外来小児科学会に、ならざき小児科からも大挙して参加して参りました。クマさんも、コアラさんも、うさぎさん達もそれぞれのワークショップで発表したりして、みんな大活躍でした。せっかく名古屋まで行って来たのに、観光どころか名古屋名物のみそ煮込みうどんや櫃まぶしも食べそこない、学会の会場に缶詰状態でした。しかし、その代わり多くの学びもありましたので、まあっいいか!

 今回は、その中から私が参加した一部の感想をご報告致します。

「待合室の絵本」というコーナー<その1>

 絵本作家の黒井健さんが、なぜ絵本をかくようになったのか、絵本に込められている思いについて話されました。世間一般的な常識としての「こどもに向く鮮やかな色彩」「こどもがよろこぶだろう」という絵本を書いていた時期の作品よりも、自分が心から「子ども達に何かを伝えたい」という思いで書いた作品や、「自分が表現したい色彩やタッチ」で書いた作品の方が、本当に子ども達に受け入れられているという話でした。話を聞きながら、やはりそうなんだとひとりで納得しているのでした。子どもは大人を見つめているのです、大人のこころを!子どもの視線に堪えられる大人でなければ・・・とあらためて思いました。

「待合室の絵本」というコーナー<その2>

 京都大学霊長類研究所の正高先生は「言葉の習得と絵本の役割」について話されました。先生が示されたデーターは言葉の習得というよりも、人格の形成に深くかかわるものでした。愛だけでは子どもは育たない、愛を伝えることが大切。それは日頃の何気ない語りかけであったり、読み聞かせである。テレビやビデオから流れてくる映像と音声のテンポや抑揚の刺激は乳幼児には強すぎるので、それに慣らされている子どもは人間の声に興味がなく反応しないし、集中力の持続が出来なくなるのだそうです。子ども達のこの現象は学級崩壊の原因でもあるという。ここで思い出したのは、最近日大脳神経科学森教授が「ゲーム脳」と名付けられ、発達途中にある子どもの脳がテレビゲームによって前頭葉がダメージを受けるという学説です。前頭葉というのは人間らしい感情や創造性を司るところです。昔、子ども達と大人達は手遊びや子守歌、童謡、昔話の語りというツールで向き合えましたが、今の大人にとってのツールは絵本であるし、絵本しかないようです。やはり子どもの問題というより我々大人の問題なんだと思いました。もっと子どもに本を!ブックスタートを推進する「ぞうさん文庫」をもっと活用して欲しい!そして、テレビのスイッチを切りましょう!

 基調講演「親と子の絆」

 児童精神科・思春期精神科が専門の佐々木正美先生が示された「コミュニケーションに失望しないための」処方箋は、「小さいときから多様な人間関係を築きましょう」ということでした。「人間の存在意味は人間関係の中にあり、人間関係の中にしかない」、「小さいときの人間関係の豊かさが将来の感情の豊かさにつなる」などの言葉に、あらためて核家族にみる孤独な育児環境というのは子どもの人格形成に及ぼす負の要素が大きいと認識させられました。手軽に様々な人と交流できる地域活動(町内会、育児サークル、公民館活動、PTAなど)に父親も母親も積極的に顔を出すことによって、子どもが多彩な人間関係に浸ることが出来るのではないかと講演を聴きながら思ったことでした。

 市民公開講座「おかあさんになったアイ ーチンパンジーの育児と文化ー」

  京都大学霊長類研究所の松沢哲朗教授からはアイとアユムにみるチンパン人の育児と文化の話です。人間の手で育てられたチンパン人は子育てを見聞きしたことがないし、子守の経験もないので、子チンパン人の50%は育たないというのは良く知られている事実だそうです。そこで、アユムが生まれてくるまで、アイに対して野生チンパンジーの育児シーンのビデオを見せたり、人形を使って抱き方の練習をさせたり、いわゆるマタニティー・スクールがありました。出産後約1時間もかかってようやくおっぱいにありつけたなど、危ない場面もありましたが、学習の効果が見られたようです。人間の世界も同じですね、なんの育児経験もなしに赤ちゃんが目の前に現れてくると、どうしたらいいのかわからない。思うようにならないとイライラ、育児放棄、虐待へと発展してしまう。育児は天性ではなく、文化の伝承です。チンパン人は父系社会ですが、父親である男性も育児に参加するのだそうです。母子を包み込む子育て支援ネットワークの広がりのパターンは、母→子守役として子どもの姉・兄・母の友人(女性)・伯母→父・祖父母→子どもの同年齢の遊び友達というように、子チンパン人はしっかりチンパン人間関係を経験しているのです。チンパン人の教育文化の基本は、(1)親は手本を示すだけで積極的な教示はしない、(2)子どもは親のやることを見続け、真似て自分でする、(3)親はきわめて寛容である。人間は頭が良すぎるのでややこしくなってしまったんじゃないでしょうか。同じ生き物として生きる基本は、チンパン人に見習うべきものが多いように思いました。

 学会のパンフレットには、以下のような《禁煙について》の注意事項がありました。

 『本学会は、従来より子どもの健康を守るために禁煙活動を推進しております。学会使用会場はすべて禁煙とさせていただいております。国際会議場としての喫煙場所はありますが、学会に参加される方は、この趣旨をご理解いただいて禁煙をお願いいたします。やむをえず喫煙をされる場合には、名札をはずしていただくか、屋外喫煙の励行をお願い申し上げます。』

 7月に成立したばかりの「健康増進法」には、禁煙・分煙の推進の規定があります。健康のためにはこれぐらい毅然とした見識と行動が必要ですね。まさしくアドボガシーNOW!

 ちなみに、今回の学会のスローガンは『アドボガシーNOW!子ども達のためにもっと出来ることがあります!あなたにも出来そうなことがあれば、今から始めてみましょう!』です。なにかを始めましょう!

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